電気温水器のメリットとデメリット

電気温水器のメリットとデメリット

給湯器に関して調べるなかで、「電気温水器」という言葉に出会ったことがある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
電気温水器とガス給湯器の違いや、メリットとデメリットは気になりますよね。

そこで本記事では、電気温水器の概要ならびにメリットとデメリット、エコキュートとの違いも解説します。
「給湯器の交換で失敗したくない」とお考えの方は、ぜひ本記事を最後までお読みください。

電気温水器とは

電気温水器とは、電気で水を温めるタイプの給湯器のことであり、大きく「瞬間式」と「貯湯式」の2つに分けられます。

瞬間式は、“使うときに使う分だけ”お湯を作るタイプの電気温水器です。
お湯を貯めておくタンクを必要としないので、貯湯式に比べてスペースをとらないというメリットがあります。
一方で、一度に大量のお湯を使いたい場合には、向いていません。

貯湯式は、あらかじめお湯を作り、タンクに貯めておくタイプの電気温水器です。
お湯を連続して使用できる反面、内蔵されているタンクにより、スペースをとってしまうという難点もあります。

>>> 関連記事:給湯器の種類と電気給湯器がおすすめの理由|給湯器選びのポイント

電気温水器とエコキュートの仕組みの違い

「エコキュート」は、電気給湯器の一種です。

電気の力を利用する点は電気温水器と同じですが、お湯を作り出すメカニズムにおいて違いがあります。

電気温水器は、機器の内部にあるヒーターに通電・発熱させることで、お湯を作り出しています。
一方で、エコキュートの内部にヒーターはありません。
その代わりに、エコキュートは電気の力でヒートポンプを動かし、大気から取り出した熱で水を温め、お湯を作り出しています。

ヒートポンプとは、主に大気から熱を取り出し、利用するためのポンプのことです。
なお、このように物質から熱を取り出して、ほかの物質へ移動させて利用することを“熱交換”とよびます。
熱交換は、身近な家電だとエアコンで利用されています。

電気温水器の5つのメリット

続いては、電気温水器を利用する5つのメリットを紹介します。

メリット①安全

電気温水器は、お湯を作る際に火を使わないので、安全です。

一般的なガス給湯器は、ガスを機器内部で燃焼させて水を温めるため、使用方法によっては火災や一酸化炭素中毒のリスクがあります。

その点、電気温水器は電気の力でお湯を作り出すので、このような危険がありません。

メリット②経済的

電気温水器はガス給湯器に比べて、光熱費を抑えられます。

なぜなら、電気温水器は一般的なガス給湯器と比べて、“熱効率”がよいためです。
熱効率とは、いかに効率よく熱エネルギーを作り出せるかを表した指標のことです。

ガス給湯器は、素早く大量のお湯を作り出せる反面、熱効率が悪いので、光熱費がかさむ傾向にあります。
一方で電気温水器はガス給湯器と比較して熱効率がよく、光熱費を抑えられるというわけです。
また貯湯式であれば、電気代が安い日中のうちにあらかじめお湯を作り、タンクで保温しておくこともできるため、さらに経済的といえます。

メリット③長寿命

電気温水器はガス給湯器と比べて長持ちするので、中長期的な視点で比較した場合、費用対効果が高いという側面もあります。

一般的なガス給湯器の寿命が10年程度である一方、電気温水器は20年程度です。
ガス給湯器は火を使用するため、傷みやすく耐用年数が短くなりますが、電気温水器は機器への負担が少なく、長寿命なのです。

>>> 関連記事:給湯器交換の平均寿命と故障を防ぐためのポイント

メリット④静音

電気温水器は、ガス給湯器に比べて、動作音が静かであるという点もメリットとして挙げられます。

ガスを燃焼させる必要がないため、燃焼音や、空気を取り込むファンの回転音が発生しません。

電気自動車がガソリン式の車に比べて静かであるのと同じように、電気温水器は騒音が発生せず、静かな暮らしの邪魔になりません。
そのため、「室内に設置したらうるさいのでは?」という心配は不要です。

メリット⑤省スペース

電気温水器は、一般的なガス給湯器よりもコンパクトです。

瞬間式であれば、ほとんどスペースをとらないため、設置場所の広さを気にせず取り付けられます。

ただし、同じ電気温水器でも、貯湯式はタンクが内蔵されているので、場所をとってしまうという点には注意が必要です。
貯湯式を検討する際は、必要なタンクの大きさと、設置場所に十分なスペースがあるかどうかを、事前に確認しておきたいところです。
なお、スペースはとるものの、貯湯式であれば万が一災害が発生しても、しばらくはお湯を使うことができるという防災面でのメリットもあります。

電気温水器の3つのデメリット

続いては、電気温水器の3つのデメリットを紹介します。

デメリット➀設置費用が高い

電気温水器の設置費用は、一般的なガス給湯器に比べて高額になる傾向があります。

ガス給湯器の設置費用の相場は5万円程度ですが、電気温水器は50万円程度になることもめずらしくありません。

設置費用は高いものの、電気温水器は月々の光熱費を抑えられ、また長持ちするという利点もあるので、中長期的な視点での費用対効果も考えてみてはいかがでしょうか。

デメリット②湯切れしやすい

湯切れを起こしやすいという点も、電気温水器のデメリットの1つです。

電気温水器は、一度に大量のお湯を作ることを不得意とします。
貯湯式であれば、ある程度の連続供給が可能ですが、それでも、大所帯で大量のお湯が必要になる場合は、供給が間に合わずに湯切れを起こすおそれがあります。

日頃使うお湯の量を把握したうえで、電気温水器を選びたいところです。

デメリット③水圧が弱い

電気温水器は、水圧が弱いという難点もあります。

これは、一般的なガス給湯器とは異なり、水道管と電気温水器が直接接続されていないことが理由です。
そのため、シャワーの勢いが弱かったり、湯船を貯めるのに時間がかかってしまったりするという懸念があります。
また瞬間式の場合、断水すると、お湯と水のどちらも使えなくなります。

電気温水器を検討する際に確認しておきたい2つのポイント

ここからは、電気温水器を検討するうえで、確認しておきたい2つのポイントをお伝えします。

ポイント➀使用人数

電気温水器の設置が適切かどうかを考えるうえでは、お湯を使用する人数に着目しましょう。

先述したとおり、電気温水器は一度に供給できるお湯の量に限りがあります。
使用人数に対して十分なタンク容量のものを選ばないと、湯切れを起こしかねません。

下記は、使用人数と、1日に必要な湯量の目安を記した表です。
電気温水器のサイズを選ぶ際に、お役立てください。

使用人数と必要な湯量の目安(内訳:お湯張り・シャワー・食器洗浄)

使用人数  目安の湯量 
1人  150リットル 
2人  200リットル 
3~4人  370リットル 
4~6人  460リットル 

貯湯式の電気温水器のタンク容量は、使用人数に合わせて最大550リットル程度のものまで展開されているので、使用人数を確認のうえ、適切なサイズを選びましょう。

なお、電気温水器で実際に使えるお湯の量は、タンクの容量よりも多くなります。
なぜなら、タンクには高温のお湯が蓄えられており、使用する際に加水して温度を調節するためです。

ポイント②機能

電気温水器を選ぶ際は、機能面での比較も怠らないようにしましょう。
機能面は、「フルオート」「セミオート」「給湯のみ」の大きく3つに分けられます。

フルオートは、湯沸かしとお湯張り、足し湯、そして保温のすべてを自動で行ってくれるので、使用人数が多く、つねにお風呂に入れる状態にしておきたい場合に向いています。

セミオートは、湯沸かしとお湯張りが自動化されていますが、足し湯や保温は手動です。
湯船の温度を手動で調整する手間を気にしない方は、検討してみてはいかがでしょうか。

給湯のみのタイプは、お湯を沸かす以外の機能は備わっていません。
そのため、すべてを手動で行う必要があり手間はかかりますが、廉価なので、費用を抑えたい場合の選択肢といえます。

電気温水器とエコキュートの比較

最後に、電気温水器とエコキュートを、3つの観点で比較します。

詳しくは、下記の表をご覧ください。
なお、両者とも3~4人用、370リットルのタンク容量のモデルでの比較となります。

電気温水器とエコキュートの比較【3~4人用タイプ】

  電気温水器  エコキュート 
本体価格  43万円  93万円 
出荷台数  約9万1,000台  436,000 
年間の電気代  102,000円  約2万4,000円 

電気温水器の本体価格は約43万円、エコキュートは約93万円と、倍以上の差があります。

また、2021年度の出荷台数で比較すると、電気温水器は約9万1,000台、エコキュートは約43万6,000台です。

電気温水器の年間の電気代は約10万2,000円、エコキュートは約2万4,000円となっており、同じ電気給湯器でありながら、4倍近い費用差があります。
なお、年間の電気代は、東京エリアでの使用を想定しています。

メリット・デメリットを知ったうえで電気温水器を選びましょう

いかがでしたでしょうか。
今回は電気温水器の概要や、メリット・デメリット、エコキュートとの違いを紹介しました。

電気温水器は、電気の力でお湯を作るタイプの給湯器であり、光熱費を抑えられるほか、安全で長持ちするというメリットがあります。
また、電気を利用する給湯器としては、ほかにエコキュートがあり、仕組みも異なるため、違いを知ったうえでご自身に合った給湯器を選びましょう。

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